第10回:ファイブフォース分析
- s.takashi

- 2024年4月25日
- 読了時間: 4分
更新日:10月16日
事業の再構築や新規事業の立ち上げの検討時に陥りがちな思考として、物事が自社に都合よく進むことを想定した次のようなものが挙げられます。
・自分達が狙う業界/市場には、競合企業は存在しない。たとえ存在していたとしても、たいしたことはないはずだ。
・だから、顧客は自分達の製品/サービスを必ず気に入ってくれるはずだ。そして、顧客は自分達の製品/サービスを、自分達の言い値で購入してくれるはずだ。
・その結果、売上と収益は想定通りに伸びていき、自分達が計画した事業の再構築や新規事業の立ち上げは必ず成功するはずだ。
果たして物事は、上記のようにうまく進んでいくのでしょうか。
残念ながら、物事が想定通りに進んでいくことは少数事例に留まります。往々にして想定外の事象が起こり、結果として見込んでいた売上と収益を確保することができず、途中で計画が頓挫してしまうケースが大半を占めています。想定外の事象を想定内の事象にするために、自社が狙う業界/市場について事前に十分な調査・検討を行うことが重要になります。

そこで今回は、上記のような自己満足的な計画に陥ることを回避するために、自社が進出している/進出しようとしている業界の構造を分析するフレームワーク、ファイブフォース分析(Five Forces : 5つの力)をご紹介いたします。

ファイブフォースは、業界/市場を上図のように5つの脅威、即ち「業界内の競合者」「業界への新規参入の可能性」「代替品の出現の可能性」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」に分けて分析し、また、自社の強みと弱みを踏まえて自社の競争力を明確にし、その上で適切な戦略を立てていこうとするフレームワークです。
5つの脅威を概略すると、おおよそ次のようになります。
「業界内の競合者」についてはイメージしやすいと思いますので、それ以外の脅威について、身近な事例を挙げてみます。
孫子の兵法「彼を知り、己を知れば、百戦危うからず」ではありませんが、ファイブフォース分析により、業界/市場における競争状況を明らかにし(「彼を知り」)、そして自社の競争優位性を探ることで(「己を知れば」)、適切な戦略的判断を下すことが可能になります。そして、そこで終わりにしてしまうのではなく、このフレームワークを継続的に回して打ち手を考え、先手を取って行動していくことが事業成功の鍵と言えます(「百戦危うからず」)。


