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月額変更届のポイント~担当者が気をつける点とは~

執筆者の写真: kajiharakajihara

更新日:2023年10月1日



やくい社会保険労務士事務所のスタッフkajiharaです。




【月額変更届】は通称・月変(げっぺん)とも呼ばれ、よく問い合わせをいただく手続なのですが、

実際にどのような点に気をつければよいのでしょうか。実務ポイントに絞って解説します。



<ここを確認:チェックポイント>

1) 固定給に変動があったらチェック開始

2) 1)の内容について3ヶ月の推移と支払基礎日数を見る(3カ月すべて支払基礎日数が17日以上か)

3) 3)の平均金額で2等級差が出れば月額変更届の対象(目安:約40,000円弱の増減)

4) 起算月から数えて4ヶ月目に変更届を提出




実例をみていきましょう。


(例1) 基本給および家族手当(固定手当)が昇給したケース

◆従来:基本給290,000円+交通費8,000円=298,000円→等級:300千円に該当(給与は月末締、翌月支払)

 3月に給与改定→4月支払給与から昇給

 ◆4月:基本給300,000円+家族手当15,000円+交通費15,000円=330,000円 

 ◆5月:基本給300,000円+家族手当15,000円+残業手当12,000円+交通費15,000円=347,000円

 ◆6月:基本給300,000円+家族手当15,000円+残業手当9,000円+交通費15,000円=339,000円



<チェックポイント>

① 4月に固定給が大きく変動→チェック開始

② 6月給与支給が終わった段階で4~6月の給与と支払基礎日数の推移を見る

③ 4月~6月の支払基礎日数が全て17日以上

④ 4~6月の総支給額の平均を出す→337,000円

⑤ ②の平均より等級に照らしてみる→等級:340千円

⑥ これにより2等級変動があるので【月額変更届】を提出する→7月月額変更届

⑦ 7月分より(8月給与支払分)新しい等級の社会保険料で控除する








(例2)固定給に変更がないが、変動手当での変動額が大きいケース

◆従来:基本給298,000円+交通費8,000円=306,000円 →等級:300千円に該当(給与は月末締、翌月支払)

 ◆4月:基本給298,000円+残業手当20,000円+皆勤手当5,000円 +交通費8,000円=331,000円 

 ◆5月:基本給298,000円+残業手当27,000円(深夜手当も含む) +交通費8,000円=333,000円

 ◆6月:基本給298,000円+残業手当18,000円+皆勤手当5,000円 +交通費8,000円=329,000円




<チェックポイント>

① 固定給には変動がない→月額変更届対象外(不該当)

※4~6月の総支給額の平均を出すと331,000円となり、金額だけみると2等級変動がありますが、

最優先条件の固定給には変動がなく「変動する項目のみでは対応しない」原則ルールに基づき、

この場合は月額変更届の提出は不要となります。



このように、最優先条件として「固定給の変動」の有無が一番のポイントになります。




(例2)のとおり、残業手当のみ変動している場合は月額変更届では対応しません。

この場合は算定基礎届で標準報酬月額を改定決定します。


算定基礎届は「定時決定」と呼ばれ、年に一度、4月~6月に支払った給与額から標準報酬月額を改定決定するための手続きです。

それに対し月額変更届は「随時改定」と呼ばれ「給与の支給内容に変更があれば随時」行います。算定基礎届ではカバーしきれない社員の給与実態に則して行うのが月額変更届となります。



なお例外として、等級の上限・下限の場合や、育児休業明けの社員の場合は1等級差でも標準報酬月額を改定することができます


月額変更や算定基礎届の際には、支払った報酬の平均を算出して改定後の標準報酬月額を決定しますが、実際は各社で固定給の支給項目名は多種多様なため、平均に算入する手当や報酬はどこまでなのか・・・と悩まれてご相談を受けることも多くあります。


弊事務所では、人事・労務担当者に代わり社保手続・労働保険手続などを代行する 「労務顧問契約」をご提案しております。 詳しくはお気軽にお問合せください。 顧問サービス | やくい社会保険労務士事務所ホームページ | Chiba (yakui-sr.com)



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