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二つ以上の会社の役員になった時の社会保険の手続は

  • 執筆者の写真: 藥井遥(社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント・1級FP)
    藥井遥(社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント・1級FP)
  • 3月28日
  • 読了時間: 4分

更新日:4月14日

すでにある会社で役員であって社会保険に加入している方が、新たに別の会社の役員に就任し役員報酬を受け取ることとなった時、社会保険は二つの会社で加入しなければならないのか?というご相談を受けることがあります。


すでに社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入しているので、もう一つの法人では社保に加入する必要はないのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。


しかし、すでに別の会社で社会保険に加入していたとしても、一定の基準を満たせば別法人でも社会保険に加入しなければならないことはご存知でしたか。







役員は必ず社会保険に加入しなければならないのか


こちらの記事でご紹介している通り、役員がその会社で社保に加入すべきかどうかは「経営への参画の実態や報酬などを総合的に判断」することとなります。



常勤役員として経営に参画している立場なのか、名ばかり役員のように経営へはほとんど参画していない立場なのかなど、実態に応じて判断されますが、詳しくは上記の記事をご覧ください。





2つ以上の会社で役員に就任した時の社会保険の手続は


では、2つ以上の会社で社会保険に加入すべき立場で役員に就任し、役員報酬を受けることとなった時の手続を確認します。




まず、役員本人はどちらの会社をメインにするかどうかを選択します。


そして、選択した会社を管轄する年金事務所に対して「二以上事業所勤務届」を提出し、

それぞれの会社で、それぞれいくらの役員報酬を受けることになるのかを申告することになります。


年金事務所は、それぞれの会社で受ける報酬月額に基づき按分決定し、それぞれの会社宛てに保険料額を通知することになります。


一つの会社でしか社保に加入していない人とは異なり、このように保険料額は「個別に決定された額」となりますので注意が必要です。


なお健康保険組合に加入している会社を選択した場合は、加入先の健康保険組合にも手続きが必要となります。





健康保険証(マイナ保険証)は差し替え


健康保険が2つの会社で重複して使えるようになるわけではありません。

ご本人が選択した会社のみで被保険者情報が登録され、その会社で加入する健康保険のマイナ保険証のみが有効となります。



二以上事業所勤務届を提出する前にすでに発行されていた健康保険証は無効となり、マイナ保険証に切り替える必要がありますのでご注意ください。





新たに社保に加入する会社で「資格取得届」も忘れずに

「二以上事業所勤務届」は基本的にご本人が年金事務所に提出をしますが、一方で新たに社会保険に加入する会社で「健康保険・厚生年金保険資格取得届」の提出も必要です。


この手続は、通常の資格取得手続きと同様、会社が処理をしてあげてください。





2つの会社で社会保険に加入する場合は、それぞれの会社に通知が届くのでご注意を

場合によっては、「その他の会社役員を兼務している」ということを伏せておきたいこともあるかもしれませんが、二以上事業所勤務届を提出した後、それぞれの会社に決定された保険料の通知が届くことになります。


そのため「それぞれの会社で社保に加入していることがばれたくない」という方は注意が必要です。

その場合は、どちらかで社保に加入しないような立場で役員に就任するほかありません。


保険料についても、会社に対して通知された額をそれぞれの会社が納付します。






二以上事業所勤務届の添付書類は

二以上事業所勤務届の提出にあたり、添付書類は以下の通りです。


  • 窓口で提出する場合は、マイナンバーカード。お持ちでない場合は以下のア.およびイ.を提示。

  • 郵送で提出する場合、または作成された届書を事業所担当者や社会保険労務士等が提出する場合は、マイナンバーカードの表裏両面または以下のア.およびイ.のコピーを添付。


ア.マイナンバーが確認できる書類個人番号の表示がある住民票の写し


イ.運転免許証、パスポート、在留カードなど





健康保険料率はどうなる?

例えば千葉と東京の会社でそれぞれ社保に加入する場合、保険料率は千葉と大阪、どちらの保険料率をもとに計算されるのでしょうか。


これは、ご本人が選択した主たる会社の所在地の健康保険料率が適用されます。




算定基礎届はどちらの会社が提出する?

二つ以上の会社で社保に加入している場合も、算定基礎届の提出は必要です。


二以上事業所勤務者の算定基礎届は、選択事業所を管轄する事務センターから各会社に送付されますので、それぞれの会社における役員報酬額等をを記載のうえ、送付元の事務センターまで返送することになります。




以上、役員が2つ以上の会社で役員に就任した際の社会保険の手続のポイントでした。

会社の労務手続きのアウトソーシング(顧問契約)については、弊事務所までご相談ください。




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