前回は、孫子の兵法「彼を知り、己を知れば、百戦危うからず」になぞらえ、ファイブフォース分析により「彼を知り」得る(業界/市場における競争状況を明らかにする)ことが可能になることをご紹介いたしました。
今回は、「己を知れば」(自社の競争優位性を探る)のために有用となるSWOT分析と3C分析について考えてみます。
SWOT(スウォット)とはStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を組み合わせたものであり、3C(サンシー)とは顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの頭文字を表したものです。図で示すと下掲のようになり、各々がどのようなものであるのか、何となくイメージいただけるのではないでしょうか。
SWOT分析と3C分析の目的は、概ね下表のように定義することができます。
SWOT分析と3C分析は異なる視点から企業の状況を分析しようとするフレームワークですが、似通っているところもあり、効果的な事業戦略の立案のために、相互補完的に使用していくことが望ましいと言えます。一つのアプローチとして、次のようなものを挙げることができます。
まず、SWOT分析で自社の強みを抽出し、3C分析で競合他社の追随が難しい自社の強みを特定した後、顧客のニーズと突合します。これにより、自社の競争優位性/差別化に向けた戦略立案へとつなげていきます。
また、SWOT分析で抽出した自社の弱みや市場の脅威について、3C分析で競合他社のそれと比較し、自社が今後とるべき対策立案へとつなげていきます。
両者を相互補完的に使うことで、より戦略的な事業の展開を図っていくことが可能になります。

最後に、マクロ環境を分析する際によく使われる、PEST分析というフレームワークをご紹介いたします。
PESTとは、市場を構成するPolitics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの頭文字を組み合わせたものです。PEST分析を行うことにより、世の中の流れ/動向を体系的に整理することができ、市場全体を俯瞰することが可能になります。
■ Politics(政治): 地政学や法改正等、市場環境に影響を与える政治的観点
■ Economy(経済): 経済成長率や金融政策、物価動向等の経済的観点
■ Society(社会): 世論、流行、価値観、人口動態等の社会的観点
■ Technology(技術): 新技術や特許、イノベーション等の技術的観点
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