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第19回:苦労して新規顧客を開拓したにも関わらず・・・

  • 執筆者の写真: s.takashi
    s.takashi
  • 8月30日
  • 読了時間: 3分

更新日:10月16日

 事業を継続・拡大していく上で、新規顧客の開拓は欠かせない命題です。これができなければ、事業はやがて閉じざるを得なくなります。


 しかし、せっかく苦労して新規顧客を獲得しても、一度きりの取引で終わってしまうケースが少なくありません。これは非常に残念なことです。


 以前にも触れましたが、新規顧客の獲得には、既存顧客の維持に比べて約5倍のコストがかかるとされており、マーケティングの世界では「1:5の法則」として広く知られています。


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新規顧客の獲得にコストがかかる理由

  • 自社を知ってもらうために、広告や営業などの販促活動が不可欠である。

  • ゼロから信頼関係を築く必要があり、多くの時間と労力を要する。

  • 飽和状態の市場では差別化が難しく、顧客獲得のハードルが高い。

 

既存顧客の維持が低コストである理由

  • すでに信頼関係が構築されており、過剰な販促活動が不要

  • 顧客ニーズを把握しているため、密なコミュニケーションが可能

  • アップセルやクロスセルがしやすく、収益性が高まる

 



 こうした背景にも関わらず、新規顧客の維持を軽視し、ひたすら新規開拓に注力する企業が少なくありません。結果として、販促費ばかりが膨らみ、リピーターを育てることができず、持続的な成長が難しくなっているのです。

 



事例その1:そば店のケース

 私の知人が経営するそば店を例に挙げてみましょう。

店主は新商品の開発に熱心で、売上が少なくても売れることに喜びを感じています。しかし、商品提供までの待ち時間には無頓着で、他店の2〜3倍の時間がかかることもあります。


 味は非常に良いため、待ち時間を気にしないリピーター(私もその一人)によって経営は成り立っていますが、初めて訪れた顧客にとっては長い待ち時間が大きなストレスとなり、怒って帰ってしまう姿を何度も目にしています。

そのたびに「もったいないな」と感じずにはいられません。


 店主には何度も改善を促してきましたが、なかなか理解してもらえません。もともと味には定評があるのですから、メニューの拡充よりも提供時間の短縮に注力すれば、新規顧客をリピーターに育てることは決して難しくないはずです。




事例その2:美容院の初回割引キャンペーン

 筆者の近隣の美容院では、新規顧客向けに「初回50%オフ」のキャンペーンを実施していました。キャンペーン期間中は多くの新規顧客が来店し、売上も一時的に伸びました。


 しかし、問題はその後です。初回の施術は割引価格で提供されるため、利益はほとんど出ません。

さらに、施術後のフォローや次回予約の促進が不十分だったため、ほとんどの顧客が一度きりで離れてしまいました。


 結果として、キャンペーン費用と人件費だけがかさみ、リピーターの獲得にはつながらなかったのです。割引で集客するだけでなく、次回につなげる仕組み(例:次回予約割引、スタンプカードなど)が必要だったのではないかと考えています。



以上

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