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事業の再構築や新規事業の立ち上げについて考えてみましょう。(第24回:小粒ながらきらりと光る強み)

  • 執筆者の写真: s.takashi
    s.takashi
  • 1 日前
  • 読了時間: 3分

今回は、テイクアウトに徹したお好み焼き/焼きそば屋(仮称「恵比寿屋」)の事例を挙げてみたいと思います。

 

この恵比寿屋は創業50年の老舗であり、今でこそ交通量の多いロードサイドに20坪の店舗と車20台分の駐車場を有する人気店となっています。お好み焼きや焼きそばを求め、ひっきりなしに購入客が駐車場に入ってきます。


お好み焼き、焼きそばの種類は各10種類以上。券売機でチケットを購入してカウンターで注文し、店内に用意されたテーブル席に座って待つこと約10分で、焼き立てのお好み焼き、焼きそばが出てきます。

値段は500円から600円とお手頃であり、リピーター客が多いことで知られています。

一度食べるとまた食べたくなる、次から次へとリピーターが増えていく繁盛店となっています。

 

筆者はこの恵比寿屋を創業の頃から知っていますが、当初は交通量がそれほど多くない交差点の角に建つ小さな5坪ほどの店舗でした。

こんな所で売れるのだろうか、美味しいのだろうか等々、とても不思議に思ったことを今でも思い出します。


 

出店当時の恵比寿屋の状況について、マーケティングの4Pで考えてみると次のように整理することができます。

項目

内容

Product

お好み焼きと焼きそばが定番メニューで、一度食べると、しばらくするとまた食べたくなる。

Price

400円から600円くらいの手頃な価格で、昨今の値上げに動じず、値段を据え置いている。

Promotion

お店自体が小さく、外から看板はほとんど見えないので、店名がわからない。

Place

出店してから長い間、車の交通量が多いが、人があまり通らない道路の交差点の一角に立地していた。

※    Placeは通常Channelの意味で使われますが、ここでは立地として使っています。

 

ProductとPriceには問題がないのですが、Promotionはほとんど行っておらず、Placeも立地的な強みを感じられませんでした。そのような中で、なぜ恵比寿屋が長年に亘り経営を続け、そして店舗を拡大することができたのでしょうか。



その答えは口コミとリピーターからの支持にあります。恵比寿屋のお好み焼き、焼きそばは、一度食べるとまた食べたくなるおいしさを誇っていたのです。そして、価格も手頃で、中高生でもおやつとして買うことができる価格を保持していたのです。

 

さらに、経営者の地道な努力と、顧客ニーズの変化に柔軟に対応する姿勢も見逃せません。

交通量の増加を見越してロードサイドに移転し、駐車場を整備したことは、テイクアウト需要の高まりに応える戦略的な判断でした。

これは、「Place」の再定義による競争力強化の好例です。

 

中小企業診断士の視点から見れば、恵比寿屋の事例は以下のような示唆を与えてくれます。



l 小規模事業でも、商品力と価格設定が優れていれば、自然と顧客が集まる。

l 広告に頼らずとも、顧客満足度が高ければ口コミが販促の役割を果たす。

l 立地条件が不利でも、時間とともに環境が変化する可能性を見越して柔軟に対応することが重要。

l テイクアウトに特化することで、回転率を高め、限られたスペースでも収益性を確保できる。

 


このように、恵比寿屋は「小粒ながらきらりと光る強み」を活かし、地道に顧客の信頼を積み重ねてきたことで、地域に根ざした繁盛店へと成長しました。

中小企業にとって、派手な戦略よりも、地に足のついた価値提供と顧客との関係構築こそが、持続的な成長の鍵であることを教えてくれる好例です。

以上

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