第20回:苦労して新規顧客を開拓したにも関わらず・・・その2
- s.takashi

- 9月20日
- 読了時間: 3分
更新日:10月16日
前回は、苦労して新規顧客を開拓したにもかかわらず、リピーターにつなげることができなかった残念な事例を紹介しました。今回は、筆者が最近経験した身近な事例を取り上げ、新規顧客の定着における課題についてさらに考察してみたいと思います。

筆者が利用するJRと私鉄の駅前には繁華街が広がり、多くの居酒屋が軒を連ねています。しかし、その多くは短期間で入れ替わっており、看板の交換作業を頻繁に目にします。一方で、長年営業を続ける老舗居酒屋も少なくありません。
夜になると、各居酒屋の前には従業員が並び、懸命に客引きをしています。しかし、老舗居酒屋では客引きを行っておらず、それでも多くの客(大半はリピーター)が自然と店内に入っていきます。
筆者は以前から、この違いは何に起因するのか疑問を抱いていました。そこで先日、友人とともに客引きに誘われるまま、ある新興の居酒屋に入ってみました。2時間ほど飲食した結果、その理由が明確になりました。
新興の居酒屋の特徴
店内には狭いテーブル席がぎっしりと並び、できるだけ多くの客を詰め込もうとする意図が見え隠れしていました。その結果、顧客間の距離が近く、息苦しさや不快感を覚えました。
お酒の種類や品数が少なく、飲みたいと思ったお酒を注文できませんでした。
料理の品数も限られており、見た目も味も満足できるものではありませんでした。
従業員の接客も不十分で、サービス精神の低さが感じられました。
これらの点を踏まえると、料金に見合った価値を感じられず、「もう二度と来ることはない」と思わざるを得ませんでした。
老舗の居酒屋の特徴
顧客間の距離が十分に確保されており、隣の客を気にせずゆったりと過ごすことができます。
お酒の種類や品数が豊富で、希望するものを注文することができます。
料理の品数も多く、味も良く、満足度が高いです。
料金も満足度に見合っており、費用対効果を感じられるため、「また来たい」と思わせてくれます。
新規顧客の獲得は事業の成長に不可欠ですが、それ以上に重要なのは、顧客をリピーターへと育てることです。短期的な利益を追求するあまり、顧客体験を軽視してしまうと、せっかくの新規顧客も定着せず、事業の持続性が損なわれます。
老舗居酒屋のように、顧客満足度を高める工夫と誠実なサービスを積み重ねることで、自然とリピーターが増え、安定した経営につながるのです。新規事業の立ち上げや再構築においては、目先の集客だけでなく、長期的な顧客関係の構築を重視する姿勢が求められることを改めて感じた体験でした。


