人材の確保に使える「人材確保等支援助成金」
top of page
  • 執筆者の写真藥井遥(社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント・1級FP)

人材の確保に使える「人材確保等支援助成金」

2019年4月、人材の確保に利用できる新しい助成金ができたことをご存じでしょうか。

その名も「人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)」。

過去に「時間外労働等改善助成金」の支給決定を受けた会社だけが申請できる助成金です。

労働時間の設定改善に伴い、新たな人材を確保する必要がある会社に対して新規雇用労働者1人あたり60万円の助成金が支給されます。

今日は詳しくこの「人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)」について解説したいと思います。

「労働時間等改善助成金」の支給決定を受けていること

何よりこの助成金の特徴は、すでに「労働時間等改善助成金」の支給決定通知の交付を受けた中小企業しか利用できない点です。

助成金の趣旨が「働き方改革のために人材を確保することが必要な中小企業事業主が新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を実現した場合に対して助成を行うもの」であるからです。

​ちなみに、交付決定を受けた助成金が平成30年以降の「時間外労働等改善助成金」ではなくとも、平成29年度の「旧職場意識改善助成金」であってもOKです。

労働者を雇用する前に「雇用管理改善計画」の認定が必要

そして、労働時間等改善助成金の交付決定を受けたらすぐに労働者を雇い入れて助成金の対象とできるわけではありません。

労働時間等改善助成金の交付決定を受けた後、計画期間を1年とした「雇用管理改善計画」の作成、労働局への提出が必須です。この助成金は、雇用管理改善計画に定められた人数を上限に支給決定が行われるため、働き方改革を取り組むうえで必要な人材の人数を正確に見込み計画することが求められる点がポイントです(不必要な人数の採用計画は、認定されないことがあります)。

​そしてその雇用計画には、「人材配置の変更、労働者の負担軽減等による雇用管理の改善の取組」などについて盛り込む必要があり、実際に計画通りに取組を行わなければなりません。

​さらに、この雇用管理改善計画は、労働者を最初に雇用する予定日の属する月の初日6か月前の日から1か月前の日の前日までに提出する必要があることに、注意してください。

新たに雇い入れる労働者に関する要件

雇用改善計画にのっとり、新たに雇用する労働者についても要件が設けられています。

まず、計画開始日から6か月以内に労働者を雇用すること。

そして、この労働者を1年を超えて継続して雇用すること。

​これらを満たしたうえ、さらには雇用管理改善計画の前後で社内の雇用保険被保険者数が減っていてはいけません。

​また雇用管理改善計画開始から1年間の企業全体の離職率が、30%を上回る場合も支給対象外となってしまいます。



支給申請は、雇用管理改善計画翌日から2か月以内

雇用管理改善計画の初日から6か月以内に労働者を新たに雇用し、そしてその労働者を1年を超えて雇用しなければならないことは、さきほど申し上げました。

支給申請は原則、雇用管理改善計画の翌日から2か月以内に行う必要がありますが、労働者を雇用して1年がそのタイミングで経過していない場合は、1年が経過してから2か月以内に支給申請を行うことができます。

支給額は、雇用した労働者1人あたり60万円

ただしその労働者が短時間労働者の場合は40万円

支給の対象となる労働者は上限10名までとなっています。

支給申請に必要な書類については、別途厚生労働省のホームページで確認をしてください。

​また、上記に記載されていない助成金の支給要件も多々ありますのでご注意くださいね。


雇用改善計画終了2年目末日には、「目標達成助成」がある

さらにこの助成金はここでおしまいではありません。

雇用管理改善計画2年目の末日翌日から2か月以内に申請すると、雇用保険被保険者数が増加し、「生産性要件」を達成していた場合には追加で「目標達成助成」が受けられます。

こちらの支給額は、労働者1人あたり15万円

ただしその労働者が短時間労働者の場合は10万円

「生産性要件」についてはこちらでは詳しくは触れませんが、要は会計書類上で売り上げ等の伸び率と雇用保険被保険者人数の変化数によって、「生産性が向上している」と判断できた場合に追加助成が受けられる制度です。

この生産性要件の上乗せについては、本助成金に限らず他の多くの助成金でも同じような制度がくっついています。

すでに上述したように、助成金にはそれぞれ細かな要件が設定されており、こちらに記載されていない要件もございます。


​もしすでに「時間外労働等改善助成金」の支給決定を受けて、これから新たな人材確保をご検討の企業様は、それぞれ厚生労働省のホームページを確認していただくか、社会保険労務士事務所にご相談くださいね。

bottom of page